ぐらんぼん

乱読・積読・併読の本の虫による書評。

『縄文の思考』 小林達雄

『縄文の思考』 (小林達雄/ちくま新書)

「歴史」でもなければ、「行動」でもない。縄文の「思考」である。
縄文時代といえば、狩猟や木の実などの採集で一日を過ごし、食糧確保に汲々としていたイメージが強いが、縄文人たちになにかを思索するゆとりがあったのだろうか。文化といっても、後に農業社会を築いた弥生時代よりはずっと貧弱なものだったのではないだろうか。
そんな私の固定観念を鮮やかに打ち砕いてくれたのが、本書である。
[ 2008/06/25 ] 歴史・伝記 | CM(0) | TB(0)

『カラシニコフ自伝 世界一有名な銃を創った男』 エレナ・ジョリー

カラシニコフ自伝 世界一有名な銃を創った男 (朝日新書 106)
「カラシニコフ」、またの名を「AK47」。軍事に疎い人でも、一度は見聞きしたことのある言葉ではないだろうか。名称を知らずに、カラシニコフを握った兵士たちの姿をテレビや新聞を通して見ているかもしれない。
この自動小銃によって、どれほどの血が流され、どれだけの人間が自由を手に入れたのだろう。最近では、ビンラディンらテロリストが使っていることで悪いイメージの方が強い。ただ本書は、銃器がもたらした影響を政治的・歴史的に評価するものではない。それを作った人間・カラシニコフに焦点を当てた一冊なのである。

実をいえば、タイトルを見るまで「カラシニコフ」が設計者の名前であることを知らなかった。しかも、カラシニコフ氏がご存命で、80歳を過ぎた今なお精力的に仕事に取り組んでおられるとは。
「カラシニコフ」は、創造主の手を離れて今や世界中に出回っており、その数は六千万とも八千万ともいわれている(もっとも、正確な数は誰にも分からない)。ところが驚くことに、彼個人は売買された銃器からまったく金銭を受け取っていないという。工場として特許を取ったのも、生産からずっと後になってのこと。長年にわたって世界中で使われていることを考えれば、その利益は莫大なものとなったに違いない。
[ 2008/06/22 ] 歴史・伝記 | CM(0) | TB(0)

『ヒトラーの贋札 悪魔の工房』 アドルフ・ブルガー

ヒトラーの贋札 悪魔の工房
第二次大戦時、ナチス・ドイツがイギリスに対して仕掛けた偽札攻撃・通称「ベルンハルト作戦」。
秘密を外に漏らさぬため、この作戦には強制収容所の中から選ばれた囚人たちが従事させられた。著者のアドルフ・ブルガー氏は、ベルンハルト作戦にかかわり、生き抜いた一人である。昨年末、来日されたことは記憶に新しい。
少し前に読んだ『ヒトラー・マネー』で、私はある疑問を抱いた。
著者たちが苦心の末造り上げた偽造ポンド紙幣は、専門家ですら真贋を見分けられないほどの出来栄えだったという。なによりも彼らを駆り立てたのは、死の恐怖だったに違いない。
だが、恐怖だけで人はあれほど見事なものを造ることができるのだろうか。最初は嫌々だったとしても、手がけていく内に職人の血が騒ぐことや、仕事にやりがいを感じることはなかったのか。人はロボットではないのだから、何か強い動機づけがなければ完璧な仕事なんてできないと思う。たとえ、他の強制収容所の囚人たちより恵まれた環境だったとしても。当事者の胸の内を知りたくて、本書を開いた。
[ 2008/05/20 ] 歴史・伝記 | CM(0) | TB(1)

『ヒトラー・マネー』 ローレンス・マルキン

ヒトラー・マネー
手元の福沢諭吉を、まじまじと見つめる。
光にかざすと、真ん中からもう一人の諭吉が顔を覗かせ、左下では、新たに付け加えられた銀色のシールがNIPPON GINKOを主張している。こんな吹けば飛ぶような紙が、人を一喜一憂させ犯罪にまで走らせるのだから、おかしなものである。
一体ぜんたい、お金とは何だろう?経済学の教科書にはもっともな説明が載っているが要は、ただの紙が人々の「信用」で支えられ、特別な地位を得ているのである。では、この信用とは何だろう?目には見えないが、たしかにある大事なもの。けれど、不断の努力がないとすぐに失われてしまうデリケートなもの。
ナチス・ドイツが第二次大戦中にイギリスに対して仕掛けた偽札攻撃の全貌を描いた本書は、貨幣経済の本質について考えさせてくれる好著である。
[ 2008/05/14 ] 歴史・伝記 | CM(0) | TB(0)

『ファーストマン ニール・アームスロングの人生(上・下)』 ジェイムズ・R・ハンセン

本が好き!プロジェクト経由で献本していただいたものの、どうにも気分が乗らず、読みかけたまま放置すること数ヶ月・・・。そんな時、エンデバー打ち上げのニュースが私の目を引いた。「今だ!土井さんが宇宙にいるこの時を逃していつ読む!」と人知れずモチベーションをあげて、読書を再開。

ファーストマン
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書評/ルポルタージュ

[ 2008/03/26 ] 歴史・伝記 | CM(0) | TB(0)