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『囚われちゃったお姫さま』 パトリシア・C・リーデ
とかくおとぎ話の「お姫さま」というものは、美人で、か弱くて、王子さまに救い出されるのを待っているような受身の存在として描かれている。ジェンダー論者でなくとも、そんなお姫さま像に抵抗を感じるのは私だけではないだろう。

囚われちゃったお姫さま
書評/SF&ファンタジー

さて、本書である。なにしろ、少女漫画風の可愛らしい表紙にタイトルが「お姫さま」である。しかも一緒にいるのは、ファンタジーにお馴染みのドラゴンじゃあないですか。夢見る乙女ならともかく、普通の大人なら手に取るのが気恥ずかしくなるような一冊である。「この手の作品はちょっと・・・」と1ページもめくらないうちから敬遠する人も少なくないだろう。
だが、先入観を取っ払って読み始めると、本書が既存の「お姫さま」ファンタジーと一線を画していることに気づくはず。むしろ、私のようにおとぎ話が苦手な人こそ、楽しめる作品だと思う。

囚われちゃったお姫さま
- 田中 亜希子
- 東京創元社
- 2100円
書評/SF&ファンタジー

さて、本書である。なにしろ、少女漫画風の可愛らしい表紙にタイトルが「お姫さま」である。しかも一緒にいるのは、ファンタジーにお馴染みのドラゴンじゃあないですか。夢見る乙女ならともかく、普通の大人なら手に取るのが気恥ずかしくなるような一冊である。「この手の作品はちょっと・・・」と1ページもめくらないうちから敬遠する人も少なくないだろう。
だが、先入観を取っ払って読み始めると、本書が既存の「お姫さま」ファンタジーと一線を画していることに気づくはず。むしろ、私のようにおとぎ話が苦手な人こそ、楽しめる作品だと思う。
『ターニング・ポイント1 ファイヤーストーム 神秘の光』 デイヴィッド・クラス

主人公は、ジャック・ダニエルスン。金髪・青い目・高身長・フットボール選手・恋人アリと、いかにも「アメリカの高校生」といったキャラクターである。
ところがデートの夜、不気味な男と目が合ったことからジャックの人生は一変する。その話を聞いた父さんは急いでジャックを車に乗せ、時速100キロ以上のスピードでハイウェイを疾走。そんな彼らに追っ手が迫る。父さんは言う。「やつらは、ここで食い止める。お前は希望の光なんだ。逃げろ!」それでもジャックがためらっていると、父さんは自分の足を銃で撃ち、続けて告げる。「次は頭をふっ飛ばす。みたいか?いやなら逃げろ」
これがほんの数ページの出来事なのだ。この日を皮切りに、ジャックは逃げる、逃げる、逃げる。感傷に浸る余裕もなく、とにかく逃げる。
疾走感溢れるファンタジーである。最初からエンジン全開のフルスピードに、振り落とされないようにするのがやっと。しかもこの勢いは一向に衰えることなく、ラストまで続くのだからすごい。息つく暇のない怒涛の展開の連続の中でオアシスになっているのが、ジャックと道中をともにする犬のギスコや美少女・イコの個性豊かな面々だ。肝心のファイヤーストームの出番はあっけないものの、緩急自在に使い分けた筆の運びに、ぐいぐい引き込まれていく。
『スカイシティの秘密』 ジェイ・エイモリー
浮ついた状態のことを「足が地に着かない」と言うが、本書に登場する天空人(エアボーン)たちは、もともと足が地面に着いていない。
地上での大災害の後、生存者たちは巨大な柱を立て、その上にいくつもの都市(スカイシティ)を建設。やがて人々は翼をもつ姿に進化を遂げ、平和で豊かな社会を築き上げていた。ところが、突然地上からの天然資源の供給が途絶え、存亡の危機に直面する。その原因を探るために地上へ派遣されることになるのが、主人公・アズだ。

スカイシティの秘密
書評/SF&ファンタジー

世界を救うために選ばれたのが優秀な大人ではなく、生まれつき翼のない少年というところがおもしろい。飛べないアズは、スカイシティの中では弱者である。だがその身体的特徴ゆえに、天空と地上の橋渡しという使命を帯びることになるのだ。欠点に思えていたものが、逆に自分を活かす強みとなる。そんな前向きな姿勢が感じられる作品である。
ストーリーも、爽やかで明るい。400ページ強のボリュームだが、一章が短く(99章もある!)テンポが良いので、一気に読めてしまう。
地上での大災害の後、生存者たちは巨大な柱を立て、その上にいくつもの都市(スカイシティ)を建設。やがて人々は翼をもつ姿に進化を遂げ、平和で豊かな社会を築き上げていた。ところが、突然地上からの天然資源の供給が途絶え、存亡の危機に直面する。その原因を探るために地上へ派遣されることになるのが、主人公・アズだ。

スカイシティの秘密
- 金原 瑞人、圷 香織
- 東京創元社
- 1155円
書評/SF&ファンタジー

世界を救うために選ばれたのが優秀な大人ではなく、生まれつき翼のない少年というところがおもしろい。飛べないアズは、スカイシティの中では弱者である。だがその身体的特徴ゆえに、天空と地上の橋渡しという使命を帯びることになるのだ。欠点に思えていたものが、逆に自分を活かす強みとなる。そんな前向きな姿勢が感じられる作品である。
ストーリーも、爽やかで明るい。400ページ強のボリュームだが、一章が短く(99章もある!)テンポが良いので、一気に読めてしまう。
『シチリアを征服したクマ王国の物語』 ディーノ・ブッツァーティ

クマの物語である。
ただのクマではない。シチリアを征服した偉大なクマなのである。
人間に囚われた我が子を救い出すため、そして飢えと寒さから逃れるため、仲間を引き連れ山を下りることを決意したクマの王・レオンツィオ。暴君・シチリア大公率いる軍隊や、人食い鬼、化け猫など、立ちはだかる敵を次々と倒し、ついには一大王国を築き上げる。これは、クマ王国の誕生から終焉に至るまでを描いた物語である。
『神を見た犬』でディーノ・ブッツァーティの虜になった私だが、児童書である本書にもすっかり夢中になってしまった。空飛ぶイノシシあり、幽霊たちのダンスあり、奇天烈な発明あり、なんとも楽しく可笑しな物語なのである。
この作品は、もともと子どものための新聞に連載された物語で、作中の詩をイタリアの子どもたちが口ずさむほど愛されているという。翻訳されてもリズミカルで歌いたくなるような詩なのだから、イタリア語で読めばなおさらだろう。
『白いキリンを追って』 ローレン・セントジョン

この人が訳した作品なら・・・と、翻訳家で本を選ぶことがある。
とくにヤングアダルト文学では、代田亜香子とさくまゆみこ翻訳作品を好んで追いかけている。
「クロニクル千古の闇」シリーズで有名なさくまゆみこさんは、アフリカを舞台にした作品を多く紹介されている翻訳家。資源エネルギー問題が絡んでいることもあるが、近年、アフリカへの世界のまなざしが熱い。ただ、注目度の割にはアフリカの実態が伝わってこないのが現状だろう。
「アフリカ」とひとくくりにしがちだが、その中にはケニアがあり、ナイジェリアがあり、ガーナがあり、他にもたくさんの国々が存在する。そこで暮らす人々はどんな景色を眺め、なにを考え、どのような問題を抱えているのだろうか。小説は、アフリカを知るための、ひとつの入り口になってくれるのではないだろうか。
巨匠とマルガリータ
密会
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