カテゴリー [ ア行の作家 ]
『夜の桃』 石田衣良

期待しすぎたのがいけなかったのかもしれない。
たまたま観た俳句番組の中で、「いま、西東三鬼の俳句から取った『夜の桃』という作品を書いています」と作者が語っていたときから楽しみに待っていたのだ。
それなのに、なんて美しく官能的に性愛を描く男性作家なのだろう、と衝撃を受けた『娼年』のような冴えも、命を燃やし尽くすような恋愛を描いた『眠れぬ真珠』のような情熱も、この作品には感じられなかった。
「桃」とは、女陰であり、尻であり、女性そのものである。
物語のほとんどが濃厚な性描写で占められているものの、私にはむしろ淡白に思えた。セックスを描けば必ずしも官能的になるとは限らない好例である。描きようによっては、水を飲む姿や振り返るしぐさにもぞくりとする色気を潜ませられるのに、性描写の連続なんて芸がない。
なにも恋愛小説にエロスを求めているわけではない。けれど、この作品のテーマである「性」つまり「生」を描いたにしては、あまりに薄っぺらい。
『光の指で触れよ』 池澤夏樹

環境問題を考えるということは、つまるところ、生き方を根本から見直すことなのだと思う。
近年、意識の高まりにともなって家庭や企業でさまざまなエコが試みられているが、どれも「塵も積もれば・・・」的なレベルを脱していないような気がしてならない。もちろん、些細なことでも、皆が日常的に行えば効果はあるだろう。
けれど、いまだ私は塵が積もって山ができたという話を聞いたことがない。なにかが変わるときは、地殻変動のような大きな力が必要なのではないだろうか。再生紙の利用や、冷暖房の温度調節などはできても、今の利便性をすっかり捨ててしまうことはできない。お金さえあれば欲しいものがすぐ手に入るこのシステムを手放すことは。
現代社会は、いうなれば消費社会である。魅力的な新製品が次々と生み出され、メディアを介して私たちを巧みに誘惑する。人の欲望は果てることがなく、その歩みの後には、大量のゴミが残されていく。
そろそろモノやお金に翻弄される輪から抜け出して、豊かな生き方を見つめてみませんか?と問うたのが、本書である。






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