ぐらんぼん

乱読・積読・併読の本の虫による書評。

『かわべのトンイとスニ』 キム・ジェホン

かわべのトンイとスニ
5月である。新緑が目に眩しいこの時期が、一年をとおして最も好きだ。爽やかに晴れわたった青空を、つい時間を忘れて見入ってしまう。
子どもの頃、浮かんでいる雲を眺めながら、そのかたちが何に見えるか、想像しては楽しんでいた。さまざまに姿を変える雲に意味をもたせると、ぐっと身近に感じられるからおもしろい。
さて、好天に恵まれたゴールデンウィーク、川へ遊びに行った人も多いと思う。木々やあちこちに転がっている岩が、ただの木や岩ではなく、なにか別の姿に見えたことはないだろうか。周りをじっくり観察してみると、目の前に違った風景が広がっていることに気づくだろう。

朝早く、町の市場へ出かけたお母さん。
トンイとスニの兄妹は待ちきれずに、お母さんを迎えに行くことに。道々、川辺には不思議な形をした岩が並んでいる。大きな鳥、眠っている小熊の顔、おそろしい恐竜・・・。二人の子どもは、いろいろな表情を見せる岩と対話しながら歩いていく。
[ 2008/05/06 ] 絵本 | CM(2) | TB(0)

こどものともは、おとなのとも。

こどものとも0.1.2 2008年 05月号
絵本が好きで、新刊は割とマメにチェックする。
書店のキッズコーナー(と私が勝手に呼んでいる)で、ちびっこたちに混じって絵本を読んでいる私は、さぞかし異様なオーラを放っているに違いない。
「どっちか一冊にしなさい!」と母親に言われてびーびー泣いている子どもを横目に、福音館書店の月刊誌を2冊買った。
この「こどものとも」シリーズは、おもしろい絵本がひょっこり出てくるので、気になる存在なのだ。

『らっこちゃん』は、「こどものとも0.1.2」の5月号である。作者は、MAYA MAXX(こんな名前だけど、日本人)。「10ヵ月〜2才向き」という対象年齢から大きく外れているが、そんなことは無視。
タイトルどおり、らっこの絵本である。ストーリーは特にない。らっこがぷかぷか浮かんで、食って寝る姿があるだけだ。
それなのに、動物好きの心をわしづかみにする侮れない奴なのである。つぶらな瞳や今にも喋り出しそうな口元を見ていると、思わず頬が緩んでしまう。ぎゅっと抱きしめたくなるような愛くるしさなのだ。
「らっこちゃん なんにもきにしてない」という文には、「いやいや、らっこといえども厳しい生存競争にさらされているんだぞ」と反論したくなるが、かわいいから許す。


こどものとも 年少版 2008年 05月号もう一冊は、『にんじん だいこん ごぼう』という絵本で、こちらは「こどものとも 年少版」から出ている。対象年齢は、2〜4才。実年齢にはまだまだ遠い。
もともと、ニンジンも大根もゴボウもみんな白かった。ではどうして別々の色になったのか?という由来話。
私は知らなかったのだが、この野菜の色の話は全国各地で語り継がれてきた昔話なのだという。作者の植垣歩子さんは、それをアレンジしてそれぞれの野菜を個性豊かに描いている。レトロな雰囲気で、ほどよく力の抜けた絵がなんとも可愛い。
それにこの絵本、細部まで丁寧に描いているのが魅力的だ。服装や、バッグなどの小物類、一緒に寝るぬいぐるみに至るまで、じつに細かい。その意味では、『らっこちゃん』とは対照的である。「さらさらやさいシャンプー」と「つやつややさいリンス」なんて、心憎い演出だ。
これからは、野菜を見る目が変わるかもしれない。そんな風に思わせてくれる、楽しい一冊である。
[ 2008/04/11 ] 絵本 | CM(2) | TB(0)

『ルリユールおじさん』 いせひでこ

ルリユールおじさん
★★★★☆

思うところあって、いま、製本を習っている。
実際に手を動かしながら覚えていく、「習うより馴れろ」の世界。紙に折り目をつけ、糸でかがり、のりづけし、プレスする。手順を書くと簡単そうにみえるが、先生と私とでは、仕上がりがまるで違う。見事な製本をする人の手の動きは、思わず見とれてしまうほど美しい。
ああ、私も早くあんな手を持ちたい―。そんなふうに切望していた時読んだ『ルリユールおじさん』は、ひときわ感慨深いものがあった。
[ 2007/10/17 ] 絵本 | CM(2) | TB(2)

『ウェン王子とトラ』 チェン・ジャンホン

ウェン王子とトラ
ウェン王子とトラ

★★★★★

すごい。
鳥肌が立つほど、圧倒された。
こんな陳腐な表現しかできないのがもどかしいが、この絵本を前にしては言葉を失う。

我が子を人間に殺された一頭の母トラがいた。
トラは、憎しみのあまり人々を襲うようになった。トラの怒りを鎮める手だてはただひとつ。幼い王子を差し出すことだった。森に置き去りにされた王子を見つけたトラは…。
[ 2007/10/02 ] 絵本 | CM(0) | TB(0)

『漂流物』 デイヴィッド・ウィーズナー

漂流物
★★★★☆

最近放送された「探偵!ナイトスクープ」で、青森県から沖縄の島に流れ着いた漂流物を巡る依頼があった。現地の人が偶然見つけた手紙を詰めたビンは、海流にのって数年かけて遠く離れた沖縄の海岸に流れ着いたのだ。そのビンの長い旅に思いをはせると、柄になくロマンチックな気分に浸ってしまった。
そんな番組を見た後に読んだからだろうか、この絵本に描かれた世界にすんなりと入っていけたのは。

ある少年が、海岸に打ち上げられた古びた水中カメラを見つける。中のフィルムを現像してもらい、出来上がった写真を見てみると・・・。
[ 2007/08/30 ] 絵本 | CM(2) | TB(1)