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『小学五年生』 重松清


少年は、小学五年生だった。
こんなプロローグで始まる17の物語。主人公はすべて、小学五年生の男の子。40代の中年男性と10歳前後の少年を主人公にした小説は、重松清さんの十八番といえるだろう。
大人になると、年齢が離れていてもそれほど気にならないのに、十代の時は、学年が一年違うだけで大きな差があったものだ。
重松さんは、小学四年生でも六年生でもなく、なぜ五年生を主人公にしたのだろうか。
私の記憶を辿ってみても、クラスの雰囲気が微妙に変化したのは、この頃だったと思う。これまで一緒に遊んでいた男子と女子が距離を取るようになり、中学受験を決めた子は塾に通い始める。少しずつ、「高学年」としての自覚も芽生えてくる。子どもに見られたくないけれど、大人になる余裕もない。そんなジレンマを抱え始める時期が、小学五年生なのかもしれない。
『獣の奏者(闘蛇編・王獣編)』 上橋菜穂子



上橋菜穂子さんの作品は、「孤高」という言葉がよく似合う。
『精霊の守り人』の女用心棒・バルサ然り、『狐笛のかなた』の霊狐・野火然り、彼らは他人と分かち合うことのできないものを背負いながら、一人生きる。他人と群れず、自らの使命を果たすその姿は、気高く美しい。「孤独」だと湿っぽいが、「孤高」には全てを引き受ける強さがある。
ここにも、孤高の少女が一人。
10歳の少女・エリンが暮らすリョザ神王国は、「王獣」に乗って降臨し神の名の元に国を治める王一族と、戦闘用の獣・「闘蛇」を操って国防一切を司る大公一族から成り立っている。大公は王の臣下でありながら、実質的に権力を握る存在。神王と大公の関係は、天皇と武士のそれに近い。
育てていた闘蛇を死なせた咎で母が処刑されてしまい、孤児となったエリンは、養蜂を生業とするジョウンに助けられ、一緒に暮らすことに。そこで野生の王獣を見たことがきっかけで、王獣の医術師となるべく王獣保護場の学舎で学び始める。ある日、怪我をした幼獣が学舎に運び込まれ、エリンが世話を任される。試行錯誤しながら飼育していく内に、エリンは王獣と闘蛇に隠された秘密に気づき、否応なく王国の政治に巻き込まれていくことになる。



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