ぐらんぼん

乱読・積読・併読の本の虫による書評。

『〈眠り病〉は眠らない―日本発!アフリカを救う新薬』 山内一也・北潔

〈眠り病〉は眠らない―日本発!アフリカを救う新薬 (岩波科学ライブラリー 140)
普通の人より睡眠時間が多い方だと思うが、それでも毎日異常に眠い。心ゆくまで眠れたらどんなに幸せだろう。
ところが、眠り続けて最後には死亡するという、ギクリとするような病気があるのだという。その名も、「睡眠病」。本書は、睡眠病研究の歴史と現状を紹介した一冊である。

日本での「睡眠病」の認知度はどれぐらいのものなのだろうか。浅薄な私は、本書を読むまでその言葉を見聞きしたことすらなかった。
しかし、アフリカではエイズ以上の深刻な被害をもたらしており、歴史を紐解けば、細菌学の父・コッホや、シュバイツァー、志賀潔といった名だたる研究者たちがその治療に心血を注いできた難病というから驚く。
しかも、である。1960年代のアフリカ諸国の独立・その後の不安定な政情にともなって長らく見捨てられていた睡眠病治療薬の開発が、ここ日本で進められているのだから、さらに驚く。効果的で副作用のない純国産新薬の誕生に、世界からも期待が集まっているのだ。著者の北教授は研究の第一人者なので、睡眠病治療の最前線を窺い知ることのできる一冊といえるだろう。
[ 2008/05/07 ] 生物・科学 | CM(0) | TB(0)

『ヒトは食べられて進化した』 ドナ・ハート ロバート・W・サスマン

「狩るヒト」説から「狩られるヒト」説への転換。
350ページ弱の本書の内容は、乱暴に言うとこのひと言でまとめられる。古代の壁画には、狩りをする私たちの祖先が描かれているし、映画やアニメに登場する原始人はたいてい槍を持って獲物を追い回している。
人類進化学の世界でもこれまで、人類は獲物を捕らえて殺す「狩猟者」として捉えられてきた。それを、人類は多くの動物たちのエサのひとつに過ぎず、その捕食から逃れるために進化してきた、との立場で持論を展開したのが本書である。
[ 2008/03/17 ] 生物・科学 | CM(0) | TB(0)

『カラス狂騒曲―行動と生態の不思議』 今泉忠明

カラス狂騒曲―行動と生態の不思議
カラスと人間の知恵比べ。勝つのは、どっち? ★★★☆☆

最近、我が家で飼っている犬のドッグフードが、カラスに荒らされるという、由々しき事態が発生した。そもそもドッグフードを食べ残す犬が悪いのだが。ともかくその日から、私とカラスとの熾烈な戦いが始まった。
器にふたをして守ると、カラスはクチバシで器用によけて中身をついばむ。器を家の中に避難させると、外にあるストックのドッグフードの袋に穴を開けている。やって来たカラスを追い払おうと、石を投げようとした時、「カラスは小学3年生くらいの知能があって攻撃されたら覚えていて報復してくる」と、うろ覚えの知識を思い出し、睨みつけるだけが精一杯。
そこで、「戦いに勝つにはまず敵を知るべし」の原点に戻ろうと考え、本書を手に取った。
[ 2007/03/10 ] 生物・科学 | CM(1) | TB(0)

『昆虫にとってコンビニとは何か?』 高橋敬一

昆虫にとってコンビニとは何か?
切り口は面白いのだが・・・ ★★★☆☆

「昆虫にとって○○とは何か?」という28項目の問いかけによって、昆虫とそれを取り巻く文明の関係を探った一冊。
著者は、自称“カメムシ採集人”の農学博士。本書で書かれている「昆虫マニア」とは、他ならぬ著者自身のことであろう。珍しい昆虫を求めて日々採集と研究に励んでいる。
[ 2007/01/23 ] 生物・科学 | CM(0) | TB(0)

『命の番人 難病の弟を救うために最先端医療に挑んだ男』 ジョナサン・ワイヤー

命の番人―難病の弟を救うため最先端医療に挑んだ男
もし家族が、治療法のない難病に侵されたら・・・ ★★★★★

大工のスティーヴン・ヘイウッドは、29歳の時、ある難病に侵される。
病名は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)。ALSは、運動神経細胞が少しずつ死んでいく病気で、患者は発病から3〜5年で亡くなることが多いという。有効な治療法はなく、脳の腫瘍(ガン)でさえ、ALSに比べると軽いというのだから、その深刻さがよく分かる。
[ 2006/12/17 ] 生物・科学 | CM(0) | TB(0)