光文社古典新訳文庫 創刊1周年プレゼント

光文社古典新訳文庫創刊1周年プレゼントが届いた。
どうやら抽選に当選したらしい。かなり前のことなので、応募したことすら忘れていた。
文庫本目録のようなものだと思っていたのだが、意外にちゃんとしたつくりでびっくり。
古典新訳文庫と同じ装丁で、一冊の文庫本になっている。
タイトルは、「古典新訳の発見2」。
・・・「1」は?
内容は、古典新訳文庫でおなじみの翻訳家のトークセッション・対談や、エッセイ、コラムなど。この別冊では、普段は黒子に徹している翻訳家の方々が主役なのだ。
その中で、金原瑞人さんが『武器よさらば』の「I」の処理について語っているのがおもしろい。従来は「ぼく」だったのを「おれ」と訳したところ、困ったことが。
結局、キャサリンと話す場面では主語を削ったのだという。ヘミングウェイの文体って簡潔だから、まったく気づかなかった。会話に注目して、もう一度読んでみようかな。彼はアメリカ人ですが、キャサリンというイギリス人女性と恋に落ちる。第一次世界大戦中の話ですから、当時のアメリカはある意味で田舎。イギリスは世界に冠たる大帝国です。その大英帝国の女性と恋に落ちた主人公が、「おれ」というだろうか。
創刊されたときは、光文社と古典文学がどうも結びつかなかったのだが、逆にあまりしがらみのない光文社だからこそ、意欲的な新訳に取り組めたのかもしれない。
新しいものがすべて良いとは限らないが、いまの時代に合うような読みやすい訳文にしたことは、大いに評価できる。新訳がきっかけで既存の作品を読みなおし、先人の訳文の素晴らしさを再認識することもできたし。
ただ、読者は気軽に読み比べて楽しめるが、翻訳家が偉大な旧訳から脱却するのは大変なことなんだろう。『眼球譚』から『目玉の話』へ、『星の王子さま』から『ちいさな王子』へ、タイトルにまつわる裏話がおもしろかった。
このシリーズは、翻訳家の熱い思いが伝わってくるのが魅力でもあるので、これからも素晴らしい作品をいろんなアプローチで紹介してほしいものである。アジア文学は魯迅と巴金、タゴールぐらいしか知らないので、この辺りのおもしろい古典を是非。
わたしも微力ながら売り上げに貢献しますので・・・(購入に読書のスピードが追いついていないのだけれど)。ただ悩ましいことに、同じタイトルの作品が本棚を占領して、わたしの収納能力を越えつつある。これで『モンテ・クリスト伯』とか『戦争と平和』とか出たら、どうしよう。でも、買う。
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