『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々3 タイタンの呪い』 リック・リオーダン

ギリシア神話が現代のアメリカに甦った、「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」シリーズ第三巻。てっきり三部作とばかり思っていたのだが、あとがきによればまだ中盤らしい。いったい何巻まで続くんだ。アメリカでは、第四巻『The Battle of the Labyrinth』が最近出版されており、レビューの評価も上々で期待大。
さて、本書で特筆すべきは、ついにオリンポス十二神が勢ぞろいしたことである。なかでも、狩猟の女神・アルテミスが重要な役どころを演じている。あの飲んだくれの皮肉屋・ミスターD(ディオニュソス)もいい味を出していて、今後も目の離せない存在だ。
今回のミッションは、何者かに囚われたアルテミスを助けにいく、というもの。どうやら、怪物との戦いで行方不明になったアナベスも一緒にいるらしい。パーシーたちハーフ訓練生は、アルテミス配下のハンター隊とともに、救出に向かう。
このシリーズ、はっきり言って深みはない。登場人物たちは、悩み葛藤するものの、その心理描写はじつにあっさりしている。どちらかというと、キャラやアクションシーンに重点を置いた、ゲーム感覚で読むようなファンタジーなのだ。スピード感ある展開が好きな人には楽しめるだろう。
反対にじっくり描いた作品を好む人には物足りないかもしれないが、徹底したエンタメ志向がこのシリーズの魅力なのである。
それが顕著に現れているが、神々の描き方だろう。もともと、ギリシア神話に登場する神はとても人間的なのだが、このシリーズでは、それがもっとくだけた感じになっている。ここまでアメリカナイズされると、かえって気持ちがいい。俳句にハマっている陽気なアポロンなんて、想像しただけで笑ってしまう。女子の秘密の花園のようなハンター隊も、なかなか愉快である。
昔の戦いでバラバラになった肉体を徐々に再生していく敵の王、不吉な予言など、あの超有名なファンタジーと重ね合わさる設定が多々あるのだが、これはこれでおもしろいファンタジーだと思う。とくにギリシア神話の知識は必要ないが、知っていたらもっと楽しめるだろう。
今回も一件落着で終わるかと思いきや、ラストに意外な事実が明かされ、なにやら不穏な空気が漂う。今後の新たな戦いを予感させ、続きが気になるところである。
■原書で読む

The Titan's Curse (Percy Jackson and the Olympians)
Rick Riordan
Hyperion (Juv) 2008-04-08
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