カテゴリー [ サ行の作家 ]
『カシオペアの丘で(上・下)』 重松清
『真景累ヶ淵』 三遊亭円朝


猛暑である。
もはや、冷房なしではいられない体になってしまった。テレビから連日のように流される各地の映像は、暑さを助長させるだけにしか思えない。「“暑い”って言うから余計暑くなるんだ!」と画面に向かって毒づきたくなる。どうやらこの暑さで、気持ちにも余裕がなくなってしまったようだ。
そこで、背筋の凍るような怪談話で暑さを吹き飛ばそう、と本書を読み始めたのだが、思っていたほど怖くない。というより、語り口の軽妙さ、登場人物たちの掛け合いのテンポよさは、まるで落語のよう。
話のところどころに作者のユーモアが顔をのぞかせ、とてもおもしろい作品なのだ。そもそも、「神経」をもじって「真景」としたタイトルからして、遊び心を感じるではないか。
『司馬遼太郎短篇全集1 1950〜1957』 司馬遼太郎
司馬遼太郎、初期の短篇集 
司馬遼太郎は、『竜馬がゆく』や『菜の花の沖』などの歴史長篇小説が優れている作家だが、短篇もまた、味わい深いものだ。今回、「司馬遼太郎短篇全集」として出版されたことで、じっくり若き日の司馬遼太郎を偲びながら短篇小説を味わえるのは、なんとも幸せである。
本書には、司馬遼太郎の初期の21短篇が収められている。
年代は1950〜1957年までの7年間で、27〜34歳の年齢にあたる。最初の頃は、現在親しまれている「司馬遼太郎」というペンネームを使っておらず、「福田定一」で作品を発表していた。
本書には、「司馬史観」と呼ばれる独自の歴史観は、それほど顔を覗かせていない。歴史的な事件より、個人の心の内を中心に描いた作品が多く、これまで読んだ彼の作品とは違い、あっさりとした印象を受けた。
わが道を不器用に生きた、さまざまな国籍や時代の人々が、愛情を込めて描かれており、作者のあたたかい眼差しを感じ取ることができる。
また、本書には、花にまつわる物語・「花妖譚」が10篇収録されているのが、特徴的だ。美しく悲しく描かれる物語は、神話や民話のような不思議な作品だ。
私が特に好きなのが、中国の項羽と夫人の虞の最後を描いた「烏江の月」。二人の悲劇を幻想的で美しい物語に仕上げている。
ある発掘物から、はるか13世紀の時代に遡る「戈壁の匈奴」は、ロマン溢れる物語だ。理想を追い求めて、西夏攻略に固執した成吉思汗と、西夏の女城主の心の葛藤が、巧みな心理描写で描かれる。ひとつの遺物から、これだけの物語を創り上げてしまう作者の手腕に舌を巻く。
歴史モノだけでなく、作者の出身地である大阪を舞台にした「丼池界隈」「大阪商人」の2篇も、楽しい。「商人の町・大阪」で生きる商人たちのたくましさをユーモラスに描いた作品で、大阪弁が味わい深い。

司馬遼太郎は、『竜馬がゆく』や『菜の花の沖』などの歴史長篇小説が優れている作家だが、短篇もまた、味わい深いものだ。今回、「司馬遼太郎短篇全集」として出版されたことで、じっくり若き日の司馬遼太郎を偲びながら短篇小説を味わえるのは、なんとも幸せである。
本書には、司馬遼太郎の初期の21短篇が収められている。
年代は1950〜1957年までの7年間で、27〜34歳の年齢にあたる。最初の頃は、現在親しまれている「司馬遼太郎」というペンネームを使っておらず、「福田定一」で作品を発表していた。
本書には、「司馬史観」と呼ばれる独自の歴史観は、それほど顔を覗かせていない。歴史的な事件より、個人の心の内を中心に描いた作品が多く、これまで読んだ彼の作品とは違い、あっさりとした印象を受けた。
わが道を不器用に生きた、さまざまな国籍や時代の人々が、愛情を込めて描かれており、作者のあたたかい眼差しを感じ取ることができる。
また、本書には、花にまつわる物語・「花妖譚」が10篇収録されているのが、特徴的だ。美しく悲しく描かれる物語は、神話や民話のような不思議な作品だ。
私が特に好きなのが、中国の項羽と夫人の虞の最後を描いた「烏江の月」。二人の悲劇を幻想的で美しい物語に仕上げている。
ある発掘物から、はるか13世紀の時代に遡る「戈壁の匈奴」は、ロマン溢れる物語だ。理想を追い求めて、西夏攻略に固執した成吉思汗と、西夏の女城主の心の葛藤が、巧みな心理描写で描かれる。ひとつの遺物から、これだけの物語を創り上げてしまう作者の手腕に舌を巻く。
歴史モノだけでなく、作者の出身地である大阪を舞台にした「丼池界隈」「大阪商人」の2篇も、楽しい。「商人の町・大阪」で生きる商人たちのたくましさをユーモラスに描いた作品で、大阪弁が味わい深い。





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〈眠り病〉は眠らない
アメリカにいる、きみ
ウェン王子とトラ