ぐらんぼん

乱読・積読・併読の本の虫による書評。

光文社古典新訳文庫 感想文コンクール

光文社古典新訳文庫 感想文コンクール
親しみやすい新訳が魅力の、光文社古典新訳文庫。
HPを覗いてみたら、感想文コンクールを開催するとのこと。
若者に古典のおもしろさを伝えていこう!という趣旨のキャンペーンみたいです。

まず賞品からチェックするところが浅ましいですが、

最優秀賞・・・3万円相当の図書カード(1名)
優秀賞・・・2万円相当の図書カード(3名)
審査員特別賞・・・1万円相当の図書カード(若干名)
参加賞・・・応募者全員に特製クリアファイル

が、もらえるそうです。

参加者は、中学生部門、高校生部門、大学生・一般部門に分かれて、それぞれ課題図書の中から感想文を書くとのこと。ひとり何点でも応募できます。
ラインナップの中に、なにかとお騒がせの『赤と黒』が入っているあたり、挑戦的です。『幼年期の終わり』は、大学読書人大賞を受けてのことなんでしょうか。

参加賞もあるし応募してみようかなぁ、と思いながら読んでいたんです・・・が!
「原則として平成20年12月31日時点で満25歳以下の方」という括弧書きがしてありました。
25歳より上は若くないっていうのかー。青春は心の若さだって偉い人も言ってるぞー。

まぁそれはともかく、若くて読書が大好きな方、応募してみてはいかがでしょう。別に光文社のまわし者ではありませんが。
締め切りは、平成20年9月18日(木)必着です。

『山猫』 トマージ・ディ・ランペドゥーサ

山猫 (岩波文庫 赤 716-1)
長靴の爪先にある三角形の島・シチリア。
古くはローマ市民を震え上がらせたハンニバルで有名だが、本書はイタリア統一に揺れる時代を描いた物語だ。今でこそ「イタリア」と呼んでいるが、この頃はまだ7カ国の集合体に過ぎず、統一国家が誕生したのは1861年になってから。シチリアは、両シチリア王国が治める独立国家だった。
・・・と、私のように昔習った世界史の記憶を必死でたぐり寄せなくとも、巻末の解説を参照すればこと足りる(後で気づいた)。この作品では歴史は背景に過ぎず、物語の中心となるのは名門貴族サリーナ家の当主・ドン・ファブリーツィオ公爵である。彼の目から見たシチリアや人々、胸に去来する思いが情感たっぷりに描かれた作品なのだ。半世紀にわたる一族の興亡は、ガルシア=マルケスの『百年の孤独』を彷彿とさせる。
[ 2008/07/08 ] その他文学 | CM(0) | TB(0)

Googleってすごいなぁ、と思うとき。

google

本の話題とは全然関係ないのですが、Googleのロゴが気になってます。
一般的なもの(↑の)じゃなく、なにかの記念日のときにお目見えする特別ロゴが。
http://www.google.co.jp/intl/ja/holidaylogos.html
そのロゴをクリックすると、関連情報が表示される念の入れようです(検索エンジンだけに)。

で、きょう何気なく見たら、シャガールになってました。
いろんな意味ですごいです。
少し前の、川端康成のロゴも「ほおぉ〜」となったけど、これもおもしろいです。
でもほとんど「Google」の原形を留めていないような・・・。

ホリデーロゴを見かけたら、「アタリ」みたいで嬉しいものです。
こんなことで喜べるなんて、小市民だぁ〜。

『贖罪(上・下)』 イアン・マキューアン

贖罪 上巻 (1) (新潮文庫 マ 28-3)贖罪 下巻 (2) (新潮文庫 マ 28-4)
小説の限界と可能性を、同時に提示してみせたような作品である。イアン・マキューアンの作品を読むのは本作が初めてなのだが、傑作の名に恥じぬ小説。今度、彼の他の作品も手に取ってみよう。

主人公は、地方旧家の末娘・ブライオニー。
空想家の13歳の少女は、帰省する兄のために自作の劇を上演しようと張り切っていた。“役者”のいとこたちが思い通りに動いてくれないストレスの中、ある光景を目撃。少女ゆえの無知と空想と潔癖に突き動かされてブライオニーが作ったひとつの物語が、思いもよらぬ事件へと発展し、人々の運命を大きく変えることに。
物語は1935年の出来事を描いた第一部から始まり、第二次大戦時のフランス戦線を描いた第二部、見習い看護婦となったブライオニーの独白で綴る第三部を経て、1999年のロンドンで幕を閉じる。
上巻まるごと費やされる第一部は、主人公のブライオニーはじめ、姉セシーリア、母エミリー、使用人の息子ダニーなど、タリス邸に居合わせたさまざまな人間の視点から描かれていく。時間にすればほんの数日(2日かな)のことなのに、これがじれったいぐらい遅々として進まない。登場人物の意識の流れが巧みに表現されており、いつまでも浸っていたくなるような文章なのだ。ここで時間を取られる読者は、少なくないだろう(多分)。
[ 2008/07/07 ] イギリス文学 | CM(6) | TB(2)

『囚われちゃったお姫さま』 パトリシア・C・リーデ

とかくおとぎ話の「お姫さま」というものは、美人で、か弱くて、王子さまに救い出されるのを待っているような受身の存在として描かれている。ジェンダー論者でなくとも、そんなお姫さま像に抵抗を感じるのは私だけではないだろう。

囚われちゃったお姫さま
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書評/SF&ファンタジー


さて、本書である。なにしろ、少女漫画風の可愛らしい表紙にタイトルが「お姫さま」である。しかも一緒にいるのは、ファンタジーにお馴染みのドラゴンじゃあないですか。夢見る乙女ならともかく、普通の大人なら手に取るのが気恥ずかしくなるような一冊である。「この手の作品はちょっと・・・」と1ページもめくらないうちから敬遠する人も少なくないだろう。
だが、先入観を取っ払って読み始めると、本書が既存の「お姫さま」ファンタジーと一線を画していることに気づくはず。むしろ、私のようにおとぎ話が苦手な人こそ、楽しめる作品だと思う。
[ 2008/07/06 ] YA海外 | CM(4) | TB(0)

『新世界より(上・下)』 貴志祐介

新世界より 上新世界より 下

上下巻あわせて1000ページ以上のボリュームだが、おもしろくて一気に読み終えた。
貴志祐介の作品は『黒い家』『青の炎』を映画で観たことはあるが、活字で読むのは本書が初めて。ただ、これはグロテスクな描写のオンパレードだから、映像化は勘弁してほしいなぁ。

舞台は、いまからおよそ1000年後の日本。
人々は科学技術にかわって、〈呪力〉と呼ばれる超能力を操り、平和な社会を築き上げていた。ところが、理想郷のような世界で、子どもたちは徹底的に管理・監視されていた・・・。
前半の牧歌的な描写が、ぞっとするような後半の布石となる構成に脱帽。この盛り上げ方、さすが『黒い家』の作者だけのことはある。
[ 2008/07/05 ] カ行の作家 | CM(0) | TB(0)

『巨匠とマルガリータ』 ミハイル・ブルガーコフ

巨匠とマルガリータ (世界文学全集 1-5) (世界文学全集 1-5) (世界文学全集 1-5)
モスクワの公園で、神の実在性を論じ合う二人の文学者。
そこに外国人らしき怪しげな男が現れて、彼らの会話に割り込んでくる。<教授>と名乗るその男が自信たっぷりに「イエスは存在していた」と話し始めるところで場面は一転し、捕らえられたイエスを尋問するローマ総督ポンティウス・ピラトゥスが登場。舞台は再び公園に戻り、やがて<教授>の予言どおり衝撃的な出来事が次々と起こっていく。
<教授>の正体が悪魔であることはすぐ明らかになるものの、この悪魔ヴォランドが4人の手下を従えてモスクワ中を大パニックに陥れる乱暴狼藉ぶりは、常軌を逸している。とりわけ、文学・演劇関係者への攻撃はすさまじい。非業の最期を遂げる者、精神病院に送り込まれる者、遠くへ飛ばされる者など、執拗なまでに痛めつけられるのだ。
[ 2008/07/01 ] その他文学 | CM(2) | TB(0)